…よくよく考えたら、ここも1年になるんですね。最近放置が甚だしいですが、どうにかこうにかここまで続いていることに自分でもビックリです。それもこれも、来て下さる皆様方のお陰ですw本当に、毎度同じ文句ですが有り難う御座います!!
最近5000hitオーバーもしたことなので、何かまたフリー配布でもしようかと考えてます(企画倒れ感満載ですが)。ついでに、来て下さる方々が何を目当てにされてるのかのリサーチも兼ねてまたアンケートやろうかと…。どうなるか分かりませんが、設置できたらご協力お願い致します。
昨日言ってた小話を今日こそは。
本当は昨日ここにアップするつもりだったんですが、時間切れで今日に持ち越しでした。
チカサスのシリアスというか…ひたすら後ろ向きな話です;;
明日は漸く新しい棚が入る引越後半戦スタート…。
体力温存するためにも早く寝ます。
身体は重く、動きが鈍い。
目の前に斬る相手が消えてもまだ、それでも、敵を探し刃を構えた。
不意に一瞬、彩/緋が消える。
色奪う色
包む彩
柔らかく触れた瞬間、生温い熱が硬く凍えた。
「お、雪か…」
己が気付いたと同時に、傍らの元親も構えを解き、手を宙に差し出す。
その手に、肩に、碇槍に、白い皓い雪片が舞積もる。
そして色が染まっていく。
吹き出し、飛び散り、流れ、浴びた緋/血が。
言葉につられて佐助が空を仰げば、遠い天は鈍色に、間/はざまの宙は白く霞んで見える。
ボロボロボロボロ降りしきる。
視界を転じれば、天に挑み地を圧してそびえる黒の城/大坂城もまた、見上げる天守は白の中に沈み遠くあった。
それが首もがれた屍を想起させたのは、足下に転がる現実の屍の山故か、斬ることへの疲れからか。
「どうりで冷えてきたわけだぜ」
元親は緩やかに手を握り、落ちてきた白を閉じこめる。
じっと見つめる隻眼は童の無心さで、南国では珍しい雪を純粋に楽しんでいることが伝わってくる。
対して佐助の口からは溜息がもれる。
「ハア…雪とは参ったね」
「ん?」
「ただでさえ俺たち/西軍と敵/東軍の差がキツイってのに、その上雪まで降られちゃさんざんだっ」
恨みがましく虚空を睨む。
雪は降り始めから勢いを増し、白片は鳥の羽のように、けれど水気を含んで重く
舞う舞う
ボロボロ
ボロボロ…
斬ることを止めた身体は急速に冷えていく。
疲労よりもこの凍える羽が刃を鈍らせていく。
意志とは逆に、腕が垂れた。
まだ終わりではないのに
戦い続けなければ、斬り続けなければならないのに
否
これが終わりだからか
「雪は嫌いだね。寒いし、足取られるし…それに、際限なく降ってくる」
ボロボロ
ボロボロ
「まるでこの世が、崩れて剥がれ落ちていくみたいだ」
降ってくる
堕ちて逝く
こんなに感傷的になってしまうのは、もう諦めているからだろうか。
この絶対的な状況に
黒の城は四方を囲まれ、数は天と地の差。
始めから勝ち目などないと、分かっているから―――
今ここ/戦場に立っているのは、主の豊臣に対する義理に従うため。
そして、今傍らにいる鬼が主と同じ戦場に立つと知ったため。
ただ、それだけ。
だから今、この目に映る全ては終わりの風景なのだと
納得し、受け入れている自分が居た。
手を白く染めていく雪の白を見つめていた元親は、ふと小首を傾げ
「そうか?俺はキレイなもんに見えるけどよ…。雪ってよ、こうやって積もると全部真っ白になるだろ?」
白が深まる。
色/緋が消える。
「全部全部、嫌なことも忘れてぇこともキレイさっぱり埋めちまって…それでまた先に進めるんだったら、案外優しいものだと思わねぇか?」
この決定的な終わりにすら、その先があるのだと
生きていけるのだと
この期に及んでこの鬼は、そう告げた。
諦めも悲嘆も絶望もなく、生きていくと
当然のこととして―――
「…鬼の旦那って、本当幸せな人だよね」
「んだよ、おめでたい頭だって思ってんのか?」
敗色は雪ですら拭えない
窮状は変わらない
けれど
この先を信じる彼の人に
「ううん、旦那が一緒にいてくれて良かったって思ったんだよ」
少なからず佐助は救われていた。
「だからさ」
「だから…?」
だから
「どうか末期/さいごまで、俺と一緒にいてよ?」
この鬼と白の中に消えて逝けるなら
恐くはないと
思ったのだ。
そうして、白の闇に沈む空を見上げる。
先を信じる元親が何か言っていたが
終わりを見つめた佐助は緩やかに微笑うだけであった。
『白の末期』
勿論ハッピーエンドが自分大好きですが、偶にはバッドエンドも書いてみたく…(前回のビターキスはハッピーエンドの前段階だと思ってるので別物です;;)。どうせやるなら大坂の役かなと。拙宅の佐助は悲観主義者でありますが、今回はその極地にあるようで、完全に生きる残ることは諦めていますが、精神的には救われているので、本人としては幸せなのだという;;
それでも後味の悪さは出ているので、ここまで読んで頂き、本当に有り難う御座いました。