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「 良い年を 」
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いつもの如くですが…やっぱり大晦日までぎりぎりです;;
今年は個人的に緩急色々ありまして、来年はもう少し落ち着きたいな…と。
今年の3月にサイトを開設して、色々な方に遊びに来て頂きました。こんな辺境に、しかも駄文のみの所に…と、とっても感謝しております(土下座)。多分、来年も変わらずなノリで書いていると思いますが、今後とも宜しくお願い致します(深々)。

年内に1本と考えていたのですが…本当にぎりぎりにんらないとネタが浮かばないという癖がここでも出まして…;;相も変わらずな小話ですが、一年の感謝を込めて。


寒い、と呟いた言葉が白く凍り、宙に霧散する。
その次の瞬間、背後から腕が伸ばされ佐助は抱きすくめられた。

「―――…鬼の旦那?」

振り返る間もなく、銀糸の流れる頭/こうべが、己の肩に預けられた。
すぐ耳元に寄せられた元親の唇からは、穏やかな寝息が漏れる。それなのに、長い腕はしっかりと佐助の身体を捕らえて離さない。
ぎゅう、と更に抱きしめられる。

「寝ぼけてるの…?」

半ば呟きの問いに、規則的な寝息が答える。
元親が無意識にしていると分かると、佐助は何とも言えず溜息が漏れた。

「参ったな…俺様、早く帰らなくちゃいけないのに」

今日は年の瀬、大晦日。
今年一年の挨拶にと、大掃除と仕事を無理に片付けて佐助は四国に飛んだ。
明日の元旦には甲斐に帰り着かなければならない。
短い逢瀬の後、隣で眠る元親を起こさぬように出て行こうとしていたのだが…

「俺様やることいっぱいあるのよ。明けてすぐ真田の旦那や大将に新年の挨拶して、二人の初殴りあい見て、於才とお節作って餅ついて、お汁粉も作んなきゃ。チビ共にも煩いからお年玉やって、海野のセンセイと鎌之助と来年の人員配置決めて…」

指を折って、あまりな煩雑さにもう一度溜息。
勿論、そんな平和な仕事だけでなく、血なまぐさいのも山とある。

「次に逢えるのも何時か分からないくらい俺様忙しいんだ。だからねえ、鬼の旦那。お願いだから離してよ」

冗談交じりに懇願しても、返ってくるのは寝息と腕の力ばかり。
分かりすぎるほど分かっていた。

「お願いだよ、元親」

相手の耳元に唇を寄せ、そう囁いてみせる。
腕の力も温もりも変わらない。
そう分かっていて
戯れ言のように睦言のように囁いた。

分かりすぎるほど分かっている。

「しょうがないな…」

自分の本音を―――

トサッ
身を起こしたばかりの夜具に、抱きしめられたまま佐助は再び潜り込む。
器用に寝返りを打って元親に向き直ると、相手の胸へと顔を埋めた。

ぽつりと

「あったかい…」

触れた場所から体温が移り、包まれていく。
心音に身を任せながら目を閉じると、どこか遠くで鐘の音が聞こえた。
全てを払い、清める一〇八の音色。
年が明ける―――

愛しい者の腕の中で新年を迎えることに、少しの後ろめたさと、どうしようもない嬉しさを感じながら

「おめでと、元親…」

今年もどうか、二人変わらず

小さな願いを込めて、佐助は眠りへと落ちた。


『除夜』

やはりシメはこのCPで(笑)。
それでは皆様、良いお年をw

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